愛情の器シリーズを書き始めてから、
私は愛についてずいぶん考えてきました。
人は本当に一人しか愛せないのか。
愛と独占欲は同じなのか。
愛情と誠実さは別のものなのか。
人はなぜ特別でありたがるのか。
依存と愛情の違いは何なのか。
そして前回は、
一人でも生きていけるのに愛する理由について考えました。
ここまで書いてきて思うことがあります。
もしかすると、
愛情の終着点は恋愛ではないのかもしれない。
今日はそんな話をしてみたいと思います。
若い頃は恋愛が世界の中心だった
若い頃の私は、
恋愛こそが愛情だと思っていました。
好きな人ができる。
会いたくなる。
一緒にいたくなる。
手をつなぐ。
キスをする。
将来を考える。
恋愛は人生の一大イベントでした。
実際、多くの人にとってそうでしょう。
恋愛には強い感情があります。
興奮があります。
喜びがあります。
時には苦しみもあります。
だから私たちは、
愛と恋愛を同じものだと思いやすいのです。
恋愛は愛情の入り口なのかもしれない
しかし年齢を重ねると、
少しずつ考え方が変わります。
結婚する人もいます。
子供が生まれる人もいます。
親の介護を経験する人もいます。
友人との別れもあります。
その中で気付くことがあります。
愛情は恋愛だけではない。
むしろ恋愛は、
愛情の入り口の一つなのかもしれない。
そんなふうに思うようになりました。
愛情は形を変えながら続いていく
若い頃の恋愛感情は、
時間とともに変化します。
夫婦になれば、
恋人だった頃とは違う関係になります。
ドキドキは減るかもしれません。
会話も減るかもしれません。
しかし愛情まで消えているとは限りません。
むしろ別の形になっている場合があります。
安心感。
信頼感。
相手の健康を願う気持ち。
何かあったら助けたいと思う気持ち。
そうした感情も立派な愛情です。
愛犬が教えてくれたこと
私は犬を飼っています。
犬と暮らしていると、
愛情について考えさせられることがあります。
犬は何かを求めて愛しているわけではありません。
お金も地位も関係ありません。
若さも関係ありません。
ただ一緒にいる。
ただ帰りを待っている。
ただ寄り添っている。
それだけです。
そして私たちも、
犬に何かを返してもらうために愛しているわけではありません。
だからこそ、
犬との別れは深く心に残ります。
そこには損得を超えた愛情があるからです。
人生の後半で見えてくるもの
60歳になって感じることがあります。
人生は思ったより短い。
若い頃は無限に続くと思っていた時間も、
振り返るとあっという間です。
だから最近は、
誰と競うかより、
誰と穏やかに過ごせるかが大切になりました。
誰に勝つかより、
誰の幸せを願えるかが大切になりました。
愛情の価値観も変わっていきます。
愛情の器の大きさではなく
このシリーズの最初で、
私は愛情の器について書きました。
人によって愛情の感じ方は違う。
一人しか愛せない人もいる。
複数を愛せる人もいる。
そんな話でした。
しかし今は少し考えが変わっています。
愛情の器が大きいか小さいか。
それよりも、
相手を大切にできるか。
相手の存在を尊重できるか。
その方が重要なのではないかと思うのです。
愛とは相手の幸せを願うこと
ありきたりな言葉かもしれません。
しかし結局のところ、
愛とは相手の幸せを願うことなのかもしれません。
恋愛感情があってもなくても。
近くにいても離れていても。
夫婦でも友人でも家族でも。
愛犬でも。
その人が元気でいてほしい。
笑っていてほしい。
幸せでいてほしい。
そう思えるなら、
そこには愛情が存在しているのだと思います。
愛は所有ではない
このシリーズを書きながら、
私は何度も同じ場所へ戻ってきました。
独占欲。
嫉妬。
依存。
承認欲求。
どれも人間らしい感情です。
私にもあります。
誰にでもあります。
しかし愛そのものではありません。
愛は所有ではない。
支配でもない。
相手を自分のものにすることでもない。
それは、
相手の存在を喜ぶことなのかもしれません。
愛情の終着点
若い頃は、
愛の終着点は結婚だと思っていました。
しかし今は違います。
結婚も通過点の一つです。
恋愛も通過点の一つです。
その先にあるもの。
それは、
誰かを大切に思う気持ちそのものではないでしょうか。
形は変わります。
関係も変わります。
環境も変わります。
それでも残るものがあります。
私はそれを愛情と呼びたいと思います。
このシリーズを書き終えて
愛情の器シリーズは、
最初は軽い疑問から始まりました。
人は本当に一人しか愛せないのだろうか。
そこから始まって、
独占欲や誠実さ、
承認欲求や依存について考えてきました。
そして最後にたどり着いたのは、
とてもシンプルな答えでした。
愛とは、
相手の幸せを願うこと。
もしかすると、
それ以上でもそれ以下でもないのかもしれません。
まとめ
恋愛は素晴らしいものです。
人生を大きく変える力があります。
しかし恋愛だけが愛ではありません。
夫婦愛もあります。
家族愛もあります。
友情もあります。
そして人によっては、
愛犬との絆もあります。
人生の後半になるほど、
愛情は恋愛という形を超えて広がっていくのかもしれません。
愛情の終着点は恋愛ではない。
誰かの幸せを願える心そのものなのかもしれない。
そんなことを考えながら、
このシリーズを終えたいと思います。
