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人は本当に一人しか愛せないのか|愛情の器シリーズ①

「一人だけを愛するのが本当の愛です。」

私たちは子供の頃からそんな価値観の中で育ってきました。

恋愛ドラマも映画も小説も、多くはそうです。

運命の相手は一人。

愛する人も一人。

それが当たり前だと思っている人は多いでしょう。

もちろん私も、その考え方を否定したいわけではありません。

実際に一人を深く愛し続ける人もいます。

それはとても素敵なことだと思います。

ただ、長く生きていると少し疑問も湧いてきます。

本当に人間の愛情は、一人分しか存在しないのでしょうか。

私はそうは思えないのです。

少し変わった考え方かもしれません。

しかし私は昔から、

複数の人に対して同時に愛情を感じることがありました。

もちろんそれは単なる性的欲求とは違います。

相手の幸せを願う気持ち。

困っていたら助けたい気持ち。

笑っていてほしいと思う気持ち。

そういう感情です。

だからといって誰かへの愛情が減るわけでもありませんでした。

この感覚は理解されにくいかもしれません。

ですが、相談を受けていると案外珍しいことでもない気がします。


目次

子供が二人いたら愛情は半分になるのか

少し視点を変えてみます。

親子関係です。

子供が一人いる家庭があります。

そこへ二人目が生まれました。

すると親の愛情は半分になるのでしょうか。

おそらく違います。

もちろん時間は分散します。

お金も分散します。

しかし愛情そのものは必ずしも半分になりません。

むしろ増えることもあります。

三人目が生まれても同じです。

四人目でもそうでしょう。

不思議な話ですが、人間の愛情は算数のようには計算できません。

一人増えたら半分になるわけではないのです。

それなら恋愛だけが例外なのでしょうか。

ここに私はずっと興味があります。


愛情は水ではなく炎に近い

愛情をコップの水で考える人がいます。

水は限られています。

誰かに注げば減ります。

別の誰かに注げばさらに減ります。

だから愛情にも限界がある。

そう考えるわけです。

しかし私は少し違うイメージを持っています。

愛情は炎に近い気がします。

一本のろうそくから別のろうそくへ火を移しても、元の火は消えません。

むしろ明かりは増えます。

もちろん現実はそんなに単純ではありません。

ですが人間の感情というものは、意外とそういう側面を持っています。

友人を一人好きになったからといって、他の友人を嫌いになるわけではありません。

孫が生まれたから子供を嫌いになるわけでもありません。

愛情には増殖する性質があるように見えるのです。


私たちは愛と独占を混同している

恋愛が難しくなる理由の一つはここかもしれません。

愛情と独占欲を同じ箱に入れてしまうことです。

愛している。

だから自分だけを見てほしい。

だから他の異性に優しくしないでほしい。

だから自分を最優先にしてほしい。

これは自然な感情です。

誰も悪くありません。

ただ、それは愛情そのものではなく独占欲が混ざっています。

独占欲もまた人間にとって大切な感情です。

安心したい。

捨てられたくない。

特別な存在でいたい。

そんな気持ちがあるからです。

しかし愛情と独占欲を完全に同じものとして考えると、人間の感情は説明できなくなります。

なぜなら私たちは家族も友人も子供もペットも同時に愛しているからです。


人はなぜ複数を愛せるのか

心理学には愛着という考え方があります。

人は安心できる相手とのつながりを求めます。

その相手は一人とは限りません。

親。

兄弟。

友人。

恋人。

配偶者。

それぞれ違う役割を持っています。

例えば、

仕事の悩みを相談できる人。

趣味を共有できる人。

沈黙が心地よい人。

一緒にいると笑える人。

誰もが同じ役割を果たすわけではありません。

だから複数の人に対して異なる愛情を持つこと自体は、人間としてそれほど不自然ではないのです。


それでも社会は一対一を選んだ

ここで誤解してほしくないのですが、私は複数恋愛を勧めているわけではありません。

現実社会では一対一のパートナーシップが圧倒的に安定しています。

結婚制度もそうです。

子育てもそうです。

財産も責任もそうです。

人間社会は長い時間をかけて、一対一がもっとも管理しやすい仕組みを作りました。

その結果、

「一人だけを愛するべきだ」

という価値観も強くなったのだと思います。

実際には感情と制度は別の話です。

感情は自由です。

制度にはルールがあります。

この二つをごちゃ混ぜにすると議論が難しくなります。


愛情の器は人によって違うのかもしれない

私は60歳になって思うことがあります。

人間は思った以上に多様です。

一人しか愛せない人もいます。

一人を深く愛し続けることに幸せを感じる人もいます。

一方で複数の人に愛情を向けられる人もいます。

どちらが正しいという話ではありません。

身長が違うように。

性格が違うように。

愛情の感じ方も違うのだと思います。

だから私は最近、「愛情の器」という言葉をよく考えます。

器の大きさは人によって違うのかもしれません。

そして器の形も違うのかもしれません。


まとめ

人は本当に一人しか愛せないのでしょうか。

私はそうとは言い切れないと思っています。

親が複数の子供を愛するように。

人は複数の友人を大切にするように。

愛情そのものは意外と増える性質を持っています。

ただし現実の恋愛には独占欲があります。

嫉妬もあります。

不安もあります。

だから感情だけではうまくいきません。

愛情の器が大きいことと、恋愛がうまくいくことは別問題なのです。

次回は、

「愛と独占欲は本当に同じものなのか」

という少し難しいテーマについて考えてみたいと思います。

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