ペットロスはなぜこれほど苦しいのか|失う悲しみが教えてくれる愛の本質【愛情の器シリーズ⑩】

愛情の器シリーズを書き続けてきて、恋愛、夫婦、独占欲、依存、運命、そして犬との愛情まで考えてきました。

前回の記事では、犬は条件ではなく存在そのものを受け入れてくれるからこそ、人は深く愛するのではないかという話を書きました。

そして今回は、その続きです。

犬を愛した人なら、一度は考えることがあります。

「いつか必ず別れが来る。」

そのことを頭では分かっていても、実際にその日が来た時、多くの人は想像以上の悲しみに包まれます。

なぜでしょうか。

犬は言葉を話しません。

一緒に旅行へ行くことも限られています。

それでも家族を失ったような喪失感を覚える人が少なくありません。

今日は、その理由について考えてみたいと思います。


目次

悲しいのは犬がいなくなるからだけではない

ペットロスという言葉があります。

私は最初、この言葉を聞いた時、

「犬がいなくなって寂しい」という意味だと思っていました。

しかし実際には、それだけではありません。

朝起きると散歩へ行く。

帰宅すると迎えてくれる。

テレビを見ていると隣で眠っている。

休日には一緒に出かける。

そうした毎日の習慣が、ある日突然なくなります。

失うのは犬だけではありません。

犬と一緒に過ごしていた自分自身の日常も失うのです。


思い出は場所に残る

犬を亡くした人の話を聞くと、

「リードを見るだけで涙が出る。」

「散歩コースを歩けなくなった。」

そんな言葉を耳にします。

思い出は頭の中だけに残るものではありません。

家の中にもあります。

公園にもあります。

車の助手席にもあります。

犬がいた場所すべてが、思い出になります。

だから悲しみは簡単には消えません。


愛情の深さは時間でできている

恋愛でも同じです。

長く一緒に過ごした人ほど、

別れは苦しくなります。

犬との暮らしもそうです。

何年もの時間を共有してきた。

一緒に年を重ねてきた。

嬉しい日も悲しい日も、そばにいてくれた。

その時間そのものが愛情になります。

だから失った時に、

心にぽっかり穴が開いたように感じるのでしょう。


「もっとこうしてあげればよかった」

ペットロスでは、

後悔を口にする人が少なくありません。

もっと散歩へ連れて行けばよかった。

もっと遊んであげればよかった。

もっと早く病院へ行けばよかった。

しかし、その後悔は愛情があった証拠でもあります。

本当に関心がなければ、

後悔すらしないからです。


別れは愛情を消さない

私は61歳になって思います。

人は別れても愛情までは失わないのではないでしょうか。

恋愛でもそうです。

夫婦でもそうです。

親子でもそうです。

そして犬も同じです。

姿は見えなくなっても、

思い出は消えません。

名前を聞けば笑顔になります。

写真を見れば、その頃の空気まで思い出します。

愛情は終わるのではなく、

形を変えるだけなのかもしれません。


悲しめることは幸せだった証

悲しい時、

「早く忘れなければ。」

と思う人がいます。

でも私はそうは思いません。

悲しめるほど愛せたこと。

それ自体が幸せだった証ではないでしょうか。

誰かを深く愛したから、

深く悲しめる。

それは決して弱さではありません。


愛犬は今も人生の一部

犬が亡くなっても、

その犬と過ごした時間は消えません。

散歩をしていた自分。

笑っていた家族。

季節ごとの思い出。

そのすべてが今の自分をつくっています。

だから私は、

ペットロスとは「失うこと」だけではなく、

「人生の一部を大切に抱えて生きていくこと」なのだと思います。


愛情の器シリーズを書いてきて

このシリーズを書き始めた頃、

私は「人は何人愛せるのか」という疑問から出発しました。

しかし今は違います。

愛とは、

何人愛せるかではありません。

どれだけ深く人生を分かち合えたか。

その方が大切なのではないかと思うようになりました。

犬との時間も、

夫婦との時間も、

友人との時間も、

どれも人生の一部です。

だから失った時に悲しいのです。


まとめ

ペットロスが苦しいのは、

犬を失ったからだけではありません。

犬と過ごした日々が、

人生そのものになっていたからです。

愛情とは、

思い出を積み重ねること。

そして別れのあとも、

その人やその犬が心の中で生き続けることなのかもしれません。

もし今、愛犬と暮らしているなら、

今日という一日を大切にしてください。

何気ない散歩も、

何気ない「おかえり」も、

いつか振り返った時、

かけがえのない宝物になっているはずです。

次回は、このシリーズをさらに一歩進め、

「愛する人を失った後も、愛は残るのか」

というテーマについて考えてみたいと思います。

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