性癖としてのSとMを、どう関係の中に置くか【第3部】

S・Mの好みとどう付き合う?大人の関係で大切な伝え方と境界線

「自分には少しSっぽいところがある」

「相手に任せるほうが好きだから、たぶんMなのかもしれない」

自分の好みがわかってくると、次に出てくるのが、

「では、実際の恋愛ではどうすればいいのだろう」

という問題です。

自分がSで相手がMなら、相性はいいのか。

相手と好みが違ったらどうするのか。

自分の性癖をどこまで話したらいいのか。

「嫌だ」と言われたらどうすればいいのか。

S・Mについて考えるとき、本当に難しいのはこちらなのかもしれません。

性の好みというのは、自分一人の中にあるうちは比較的自由です。

ところが相手がいると、

「自分がしたいこと」と「相手が心地よいこと」は必ずしも一致しません。

だからこそ、大人の関係では「SかMか」以上に、二人の間でどう扱うかが大切になります。

この記事では、S・Mの好みを持つ二人が、無理をせず安心して関係を作っていくために何が大切なのかを考えてみます。

なお、

「そもそもサディスト・マゾヒストとは何なのか」

「SとMはどう違うのか」

については、こちらの記事から読むとわかりやすいと思います。

▶ サディストとマゾヒストとは?S・Mの心理と違いをわかりやすく解説

S・Mそれぞれの心理や性格、恋愛での現れ方についてはこちらで詳しく考えています。

▶ S・Mの心理的特徴とは?サディスト・マゾヒストの性格と恋愛傾向を考える

目次

SとMなら相性がいい、とは限らない

SとMと聞くと、

「SとMなら相性抜群でしょう」

と思うかもしれません。

確かに、

主導したい人。

委ねたい人。

この二人なら、お互いの好みが噛み合うことがあります。

ただ、現実はそれほど単純ではありません。

同じSでも、

自分からリードすることが好きな人。

言葉で相手をからかうことが好きな人。

相手の反応を見ることに楽しさを感じる人。

それぞれ違います。

Mについても同じです。

相手に任せることが好き。

少し強くリードされることが好き。

普段とは違う自分になることが楽しい。

人によって心地よい範囲は違います。

つまり、

「SとM」というラベルが一致しても、「何が好きなのか」まで一致するとは限らない。

ここを最初から理解しておいたほうが、二人の関係は楽になります。

性の好みは「言わなくてもわかる」が一番難しい

長く付き合っている相手でも、性の好みを完全に理解しているとは限りません。

むしろ親しいからこそ、

「これくらいわかっているだろう」

と思ってしまうことがあります。

でも、

相手が楽しんでいると思っていた。

実は我慢していた。

自分は嫌われたくなくて言えなかった。

こうしたすれ違いは起こります。

性の話は、普通の会話より難しいですよね。

夕飯なら、

「今日はラーメンじゃなくて寿司がいい」

と言えます。

でも性的な好みになると、

「これは好き」

「これはちょっと嫌」

という一言が急に難しくなる。

変な人だと思われないか。

相手を傷つけないか。

嫌われないか。

いろいろ考えてしまいます。

でも、言葉にしなければ相手にはわかりません。

親密な関係ほど、察してもらうより少しずつ言葉にする。

結局、これが一番確実なのだと思います。

性癖を相手にどう伝えればいいのか

自分の好みを相手に話すとき、

「実は自分、Sだから」

「私、Mだから」

とラベルだけを伝えても、案外うまく伝わりません。

なぜなら、S・Mという言葉から想像するものが人によって違うからです。

それより、

「自分からリードするほうが好きなんだ」

「任せられると安心する」

「こういう雰囲気は好きだけど、これは苦手」

と、具体的な気持ちとして話したほうが伝わりやすいでしょう。

これはS・Mに限りません。

性の好みについて話すとき、

「私はこういう人間です」

と人格の説明にしてしまうより、

「自分はこういうときに心地いい」

と伝える。

そのほうが相手も受け止めやすいと思います。

「嫌」と言える関係を先に作る

S・Mの関係を考えるうえで、自分はここがかなり重要だと思っています。

何をするかより、

「嫌なら嫌と言えるか」

です。

親密な関係では、途中で気持ちが変わることがあります。

昨日は平気だった。

でも今日は嫌。

以前は好きだった。

最近はあまりしたくない。

そういうことがあってもいい。

人間の気持ちは一定ではありません。

一度「いいよ」と言ったから、これからもずっといい。

恋人だから断ってはいけない。

Mだから受け入れなければならない。

そんな決まりはありません。

そしてS側も、

「前はよかったじゃないか」

ではなく、

今の相手がどう感じているか

を見る必要があります。

安心できる関係というのは、何でも受け入れてくれる関係ではありません。

むしろ、

「嫌」と言っても関係が壊れないと思えること。

こちらのほうが大切なのではないでしょうか。

「主導する」と「支配する」は違う

S傾向のある人にとって、相手をリードすることは心地よい場合があります。

でも、主導することと相手を支配することは違います。

「今日は自分に任せて」

と言って相手もそれを楽しんでいる。

これは二人の関係です。

一方で、

相手の嫌がることを続ける。

断ることを許さない。

恋人の交友関係を制限する。

スマートフォンを勝手に確認する。

こうしたことまで、

「自分はSだから」

で説明することはできません。

S・Mは、相手の意思を無視するための言葉ではありません。

むしろ相手に主導権を預けてもらうなら、

預けても大丈夫だと思ってもらえること

が必要でしょう。

そう考えると、S側に必要なのは「強さ」だけではありません。

相手を見ること。

止まれること。

相手の言葉を聞くこと。

こういう部分もかなり大切になります。

「委ねる」と「我慢する」も違う

M側についても同じです。

信頼している相手に、

「今日は任せたい」

と思う。

これは本人の選択です。

でも、

本当は嫌なのに断れない。

嫌われるのが怖い。

怒られるのが怖い。

関係が終わりそうだから我慢する。

これは別の話です。

外から見ると同じように「相手に従っている」ように見えるかもしれません。

でも、

自分から委ねているのか、断れなくなっているのか。

本人の中では大きく違います。

Mだから何でも受け入れなければならないわけではありません。

「これは好き」

「これは嫌」

「今日はやめたい」

と言っていい。

その言葉を相手が受け止めてくれることが、安心して委ねられる関係につながるのだと思います。

好みが違ったら、どちらかが我慢するしかないのか

ここは現実的な問題です。

自分は好き。

相手は好きではない。

そんなことは当然あります。

性欲そのものにも差がありますし、したいことにも違いがあります。

このとき、

「恋人なら合わせるべき」

と考えると苦しくなります。

反対に、

「好みが違うなら相性が悪い」

とすぐ結論を出す必要もありません。

二人の間に、

ここまでは二人とも楽しめる。

これは相手が苦手。

これは自分も別になくていい。

という範囲が見つかることがあります。

100%一致しなくてもいい。

二人が重なる部分を探す。

恋愛では、この考え方のほうが現実的なのではないでしょうか。

性欲や性的な気持ちそのものも、男女や個人によって違いがあります。

その違いについては、こちらの記事でも詳しく考えています。

▶ 男女の性欲のギャップはなぜ起こるのか|心理学から読み解く男女差

S・Mの好みは途中で変わってもいい

「昔は完全にSだった」

「若い頃はM寄りだった」

そんな人もいるでしょう。

でも、好みは変わることがあります。

年齢。

経験。

パートナー。

体調。

自分に対する理解。

いろいろなものが変わります。

だから、

「私はMだから一生M」

「自分はSだからこうしなければ」

と固定する必要はありません。

ある相手とは主導したい。

別の相手には委ねたい。

以前は好きだったけれど、今はそれほどでもない。

それでもいい。

少し話はそれますが、年齢を重ねると、自分でも意外なほど価値観が変わることがあります。

若い頃なら刺激を求めたのに、今は安心できるほうがいい。

逆に、

「もう少し自分の気持ちに正直になってもいいかな」

と思うこともある。

性の好みも、人生と一緒に少しずつ動いていくものなのかもしれません。

大切なのは「何をするか」より安心できること

S・Mについて調べていると、

「Sはこうする」

「Mはこうされることが好き」

という話に目が向きがちです。

でも大人の関係で本当に重要なのは、行為の種類だけではないと思います。

相手を信頼できる。

嫌なことは言える。

途中で気持ちが変わってもいい。

話を聞いてもらえる。

自分の好みを笑われない。

そういう安心感があるからこそ、自分の普段とは違う面を見せられることがあります。

これはS・Mだけの話ではありません。

SEXについても。

性欲についても。

コンプレックスについても。

誰にも言えない好みについても同じです。

安心できるから、少し自分を見せられる。

KOKOROで考えている「心と体の距離」というのも、結局はこういうところにつながっているのかもしれません。

S・Mについて話すときに確認したいこと

難しいルールを作る必要はありません。

ただ、二人の間で最低限、

「何が好きなのか」

「何が苦手なのか」

「どこからは嫌なのか」

「途中でやめたくなったら言えるか」

このあたりを話せると、かなり違います。

そして一度話したら終わりではありません。

気持ちは変わります。

だから、

「前に聞いたから知っている」

ではなく、

今はどう感じているのか。

ときどき確認する。

これは性的な関係だけでなく、長いパートナーシップ全体にも言えることだと思います。

まとめ|S・Mより大切なのは二人が安心できること

SとMなら相性がいい。

そんなふうに単純に決めることはできません。

同じSでも好みは違います。

同じMでも心地よい範囲は違います。

そして、その好みは時間とともに変わることもあります。

だから大切なのは、

SなのかMなのか。

どちらが主導するのか。

という分類だけではありません。

自分の気持ちを伝えられること。

相手の気持ちを聞けること。

嫌なときには嫌と言えること。

その言葉を相手が尊重できること。

その土台があれば、二人なりの関係を探していけます。

性の好みというのは、正解を探すものではないのでしょう。

二人が安心できるところを、一緒に探していくものなのだと思います。

運営者のメッセージ

若い頃は、「相性がいい」という言葉をもっと単純に考えていました。

趣味が合う。

話が合う。

SEXの好みが合う。

それなら相性がいい。

でも61歳になって考えると、全部が一致する相手なんて、そうそういません。

むしろ違うところがあったとき、

「自分はこうなんだ」

と言える。

そして相手も、

「私はこうだよ」

と言える。

そのほうが大切なのかもしれません。

性の好みは、とても個人的なものです。

だからこそ、それを話したときに笑われない。

否定されない。

無理強いされない。

そう思える相手なら、少しずつ本当の自分を見せられるのでしょう。

SでもMでも、そのどちらでもなくてもいい。

結局、自分が一番大切だと思うのは、

その人の前で安心していられるか。

そこなんですよね。

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