愛することと必要とすることは違う 愛情の器シリーズ⑤

愛情の器シリーズを書き始めてから、

私はずっと同じテーマについて考えてきました。

人は本当に一人しか愛せないのか。

愛と独占欲は同じなのか。

愛情と誠実さは別なのか。

そして前回は、

人はなぜ「特別」でありたがるのかについて考えました。

すると自然に次の疑問が浮かんできます。

それは、

「愛すること」と「必要とすること」は同じなのか。

ということです。

恋愛の悩みを聞いていると、

実はここが曖昧になっているケースが少なくありません。

本人は愛していると思っている。

しかし外から見ると依存に見える。

そんなことがよくあります。

今日はその話をしてみたいと思います。

人は本当に一人しか愛せないのか|愛情の器シリーズ①


目次

愛しているから離れられないのか

恋愛相談でよく聞く言葉があります。

「別れたいのに別れられません」

「苦しいのに離れられません」

「傷ついているのに好きなんです」

こうした言葉です。

私も若い頃は、

それを純粋な愛情だと思っていました。

好きだから離れられない。

愛しているから我慢している。

そう考えていたのです。

しかし年齢を重ねるにつれ、

少し違う見方もできるようになりました。

本当に愛しているから離れられないのでしょうか。

それとも、

一人になるのが怖いのでしょうか。


愛と依存は似ている

愛と依存は非常によく似ています。

どちらも相手を求めます。

どちらも会いたくなります。

どちらも離れていると寂しくなります。

だから区別が難しい。

しかし決定的な違いがあります。

愛は、

相手の幸せを願う感情です。

依存は、

自分の不安を埋めてもらいたい感情です。

似ているようで大きく違います。


「いなくなると困る」は愛なのか

少し考えてみてください。

あなたにとって大切な人がいます。

その人が突然いなくなったら困るでしょう。

寂しいでしょう。

悲しいでしょう。

それは自然なことです。

しかし、

「困る」の中身は何でしょうか。

一人で過ごせなくなる。

誰にも相談できなくなる。

孤独になる。

生活が崩れる。

もしそうだとしたら、

それは愛情だけではないかもしれません。

相手が必要不可欠な存在になりすぎている可能性があります。

愛と独占欲は別物かもしれない|愛情の器シリーズ②


恋愛依存は弱さではない

恋愛依存という言葉があります。

あまり良いイメージではありません。

しかし私は、

恋愛依存を単純な弱さだとは思いません。

むしろ真面目な人ほど陥りやすい。

愛情深い人ほど陥りやすい。

そう感じています。

なぜなら、

人を大切にできる人ほど、

相手を失うことを恐れるからです。

問題は依存することではありません。

依存に気付かないことです。


犬との関係を考えてみる

私は犬を飼っています。

犬と暮らしていると、

不思議な安心感があります。

帰宅すると迎えてくれる。

散歩を待っている。

ただそばにいる。

それだけで癒やされます。

では私は犬に依存しているのでしょうか。

少し考えてみると、

その境界線は案外曖昧です。

犬がいなくなれば悲しい。

とても悲しい。

しかし犬を自分の不安を埋める道具として見ているわけではありません。

幸せでいてほしい。

健康でいてほしい。

長生きしてほしい。

その気持ちがあります。

ここに愛情の本質があるような気がします。

それでも人は傷つく|愛情の器シリーズ③


自由を与えられるか

私は愛と依存を見分ける一つの基準があると思っています。

それは、

相手に自由を与えられるかどうかです。

友人でも、

恋人でも、

家族でも同じです。

相手が自分の思い通りにならない。

それでも幸せを願える。

それは愛に近いと思います。

一方で、

自分の不安を埋めるために相手を縛りたくなる。

常に確認したくなる。

失うことばかり考えてしまう。

そうなると依存に近づいていきます。


愛情の器が大きい人ほど依存しないのか

実はそうとも限りません。

愛情深い人でも依存します。

優しい人でも依存します。

むしろ相手に尽くす人ほど、

依存してしまう場合があります。

なぜなら、

愛することと自分を失うことを混同してしまうからです。

ここは非常に難しいところです。


一人でいられる人は強いのか

世の中には、

「一人でも平気です」

という人がいます。

羨ましく見えることもあります。

しかし私は、

本当に強い人とは、

一人でも生きられるのに誰かを愛べる人だと思っています。

寂しいから一緒にいる。

ではなく、

一緒にいたいから一緒にいる。

その違いは大きい気がします。

なぜ人は「特別」でありたがるのか|愛情の器シリーズ④


愛情の器シリーズで見えてきたこと

このシリーズを書いてきて、

一つ分かったことがあります。

愛情とは量の問題ではないということです。

誰をどれだけ愛するか。

それも大切です。

しかしそれ以上に、

どんな気持ちで相手と向き合うかが重要なのだと思います。

独占欲。

承認欲求。

依存。

それらは決して悪者ではありません。

誰の心にもあります。

私にもあります。

ただ、

それを愛情そのものだと思い込むと苦しくなります。


まとめ

愛することと必要とすることは違います。

しかし現実には、

その境界線はとても曖昧です。

だから私たちは悩みます。

だから恋愛は難しいのです。

もし今、

誰かを失うことが怖くて苦しいなら、

一度だけ自分に問いかけてみてください。

・私は相手を愛しているのだろうか。
・それとも相手を必要としているのだろうか。

・私は相手を必要としていない。
・それでも一緒にいてほしいと思う。

その答えは簡単には出ないかもしれません。

けれど、その問いを持つこと自体が、

自分自身を理解する第一歩になるような気がしています。

近すぎた心の距離【第1部】恋人・夫婦で依存しているサイン|心の距離が近すぎる

目次