愛情の器シリーズは前回で一区切りとしました。
人は本当に一人しか愛せないのか。
愛と独占欲は同じものなのか。
そして愛情と誠実さは別のものなのか。
そんなことを考えてきました。
ところが記事を書き終えた後も、一つの疑問が頭の中に残っていました。
それは、
「なぜ人は自分だけを愛してほしいと思うのだろう」
ということです。
もちろん私にもその気持ちはあります。
若い頃は特にそうでした。
好きな人には自分だけを見てほしい。
自分が一番でありたい。
他の誰かに負けたくない。
そう思ったことは何度もあります。
しかし年齢を重ねるにつれて、
それは本当に愛情だったのだろうかと思うようになりました。
もしかすると、
愛情とは別の感情が混ざっていたのかもしれません。
人は特別扱いされたい生き物
少し思い返してみてください。
人は恋愛だけでなく、
仕事でも、
友人関係でも、
家族の中でも、
特別扱いされると嬉しいものです。
上司に認められる。
友人から信頼される。
家族から頼りにされる。
それだけで少し幸せな気持ちになります。
逆に、
自分より誰かが優遇されると複雑な気持ちになることがあります。
人間には
「自分には価値があると思いたい」
という欲求があるからです。
心理学では承認欲求と呼ばれています。
難しい言葉ですが、
簡単に言えば
「認められたい」
という気持ちです。
恋愛は承認欲求を刺激しやすい
恋愛が難しいのは、
この承認欲求が強く刺激されるからだと思います。
好きな人ができる。
すると、
愛されたいと思います。
大切にされたいと思います。
そして次第に、
自分だけを見てほしいと思うようになります。
ここまでは自然な流れです。
しかし少し視点を変えると、
そこには愛情だけではなく、
承認欲求も含まれていることが見えてきます。
自分は特別な存在なのか。
自分は選ばれているのか。
自分は必要とされているのか。
その確認を恋愛に求めている場合があるのです。
嫉妬の正体を考えてみる
例えば恋人が他の異性を褒めたとします。
それだけで嫌な気持ちになったりしませんか。
なぜでしょう。
本当に問題なのは、
相手が褒めたことなのでしょうか。
あるいは、
自分の価値が下がったように感じることなのでしょうか。
私は後者の場合も多いと思っています。
恋人が他人を評価すると、
自分の順位が下がったような気がする。
自分の特別感が薄れたように感じる。
だから苦しくなる。
つまり嫉妬は、
愛情だけでは説明できない部分があるのです。
愛されたいより認められたい
恋愛相談を受けていると、
本当は愛情の問題ではないケースがあります。
例えば、
「もっと連絡がほしい」
という悩み。
表面上は愛情の問題です。
しかし掘り下げると、
「自分が大切にされていると確認したい」
という気持ちが隠れていることがあります。
毎日のLINE。
おはようのメッセージ。
おやすみのスタンプ。
それらは情報のやり取りではありません。
存在確認です。
私はここに、
現代人の承認欲求が見える気がします。
犬はなぜ人を救うのか
ここで少し話が変わります。
私は犬を飼っています。
犬と暮らしている方なら分かると思います。
帰宅すると尻尾を振って迎えてくれる。
名前を呼ぶと駆け寄ってくる。
ただそれだけで嬉しくなります。
なぜでしょう。
犬が人間の言葉を話しているわけではありません。
褒めてくれるわけでもありません。
それでも安心します。
それは、
犬が私たちの存在そのものを受け入れてくれるからかもしれません。
成功しているから好き。
お金があるから好き。
若いから好き。
そうではありません。
ただそこにいるだけで価値がある。
そんな感覚を与えてくれるのです。
本当に欲しいのは特別扱いではないのかもしれない
人は特別でありたいと思います。
しかし本当に求めているのは、
特別扱いではないのかもしれません。
そのままの自分を認めてほしい。
存在を受け入れてほしい。
価値を証明しなくても安心したい。
そんな願いが心の奥にあるような気がします。
だから恋愛に依存する人もいます。
だから承認を求め続ける人もいます。
だから別れが苦しいのです。
愛情の器のその先
愛情の器シリーズを書いてきて感じたことがあります。
人は誰かを愛したい生き物です。
しかし同時に、
誰かに認められたい生き物でもあります。
愛情と承認欲求は似ています。
けれど同じではありません。
ここを混同すると、
愛しているつもりが、
実は認められたいだけだったということも起こります。
逆に、
認められている安心感があるからこそ、
相手を自由に愛せることもあります。
まとめ
なぜ人は特別でありたがるのでしょうか。
それは自分の価値を確認したいからかもしれません。
そして恋愛は、
その欲求をもっとも強く刺激する関係の一つです。
だから嫉妬します。
だから不安になります。
だから独占したくなります。
しかしその感情の奥には、
愛情だけでなく承認欲求も存在しています。
もし恋愛で苦しくなった時は、
一度だけ自分に問いかけてみてください。
私は相手を愛したいのだろうか。
それとも認められたいのだろうか。
その答えが見えてくると、
人間関係の見え方も少し変わるかもしれません。
