「彼、外ではすごくしっかりしているんです」
仕事もできる。
人付き合いも上手。
後輩から相談されることも多い。
友人の前でも堂々としている。
ところが、二人きりになると少し違う。
「疲れた」
と言って寄ってくる。
くだらない話をする。
弱音を吐く。
ときには、
「今日は何もしたくない」
なんて言う。
その姿を見て、
「この人、本当はこんなに甘える人なんだ」
と驚く女性もいるでしょう。
では、男性は好きな女性に甘えたいのでしょうか。
最初に答えると、
甘えたい男性は珍しくないと思います。
ただし、誰にでも甘えるわけではありません。
むしろ普段しっかりしている男性ほど、
「この人の前なら弱い自分を見せても大丈夫」
と思えた女性にだけ、甘えることがあります。
それは幼さというより、
信頼の表れである場合もあるのです。
※この記事は「母性本能シリーズ」全15部の第7部です。
**第1部「母性本能とは何なのか|女性には本当に生まれつき備わっているのか」**では、恋愛の中で私たちが「母性本能」と呼んでいる感情の正体から考えています。第6部からは視点を男性側へ移し、男性が女性に求める「安心」「甘え」「癒やし」について考えています。
【第1部】母性本能とは何なのか|女性には本当に生まれつき備わっているのか
男性は好きな女性の前でも「格好よくいたい」
少し矛盾しています。
好きな女性には甘えたい。
でも同時に、
好きな女性には格好よく見られたい。
男性には、この二つが同居することがあります。
頼れる男だと思われたい。
仕事ができると思われたい。
余裕があるように見せたい。
困ったことがあっても、
「大丈夫」
と言う。
デート中に道を間違えても、
「こっちのほうが景色がいいから」
なんて言ったりする(笑)。
素直に、
「間違えました」
でいいのですが、好きな女性の前では妙なプライドが出ることがあります。
ところが関係が深くなってくると、その鎧が少しずつ外れていきます。
「実は今、仕事がかなりきつい」
「自信なくしてる」
「今日はちょっとそばにいてほしい」
そんな言葉が出てくる。
これは、
格好よく見せなくても、この人は離れていかない
と思えるようになったからかもしれません。
甘える相手は「弱さを見せても評価を下げない人」
男性が弱さを見せにくい理由の一つは、
「こんなことを言ったら、頼りないと思われるのではないか」
という不安です。
仕事で失敗した。
将来が不安。
人間関係で傷ついた。
自分に自信がなくなった。
本当は誰かに聞いてほしい。
でも、
「男のくせに」
「そんなことで落ち込むの?」
と思われたら嫌だ。
だから黙る。
そんな男性もいるでしょう。
ところが好きな女性が、
「そうだったんだ」
と普通に聞いてくれた。
急いで解決しようともしない。
馬鹿にもしない。
次の日になっても、態度が変わらない。
すると男性の中に、
「ここでは弱い自分でも大丈夫らしい」
という感覚が生まれます。
一度それがわかると、少しずつ甘えられるようになる。
「甘えたい」と言葉で言える男性ばかりではない
男性の甘え方は、必ずしもわかりやすくありません。
「甘えさせて」
と言える男性なら、むしろ話は簡単です。
でも実際には、
急にくっついてくる。
いつもより話が長い。
どうでもいいLINEを送ってくる。
「何してる?」
と聞く。
帰りたがらない。
妙にくだらない冗談を言う。
普段より少し子どもっぽくなる。
そんな形で出ることもあります。
本人も、
「俺は今、甘えている」
なんて分析していないでしょう。
ただ、
好きな女性のそばにいると緊張が緩む。
その結果として、普段は見せない部分が出てくるのだと思います。
外で強い男性ほど、恋人の前では弱くなる?
「仕事ができる男性ほど甘えん坊」
そんな言い方をすることがあります。
これは全員に当てはまる話ではありません。
ただ、外で責任を背負う時間が長い人ほど、どこかで力を抜きたくなるのは不思議ではないでしょう。
会社では判断する側。
部下から相談される。
取引先には弱気を見せられない。
家族にも頼られている。
一日中、
「大丈夫です」
と言っている。
家に帰って恋人の隣に座り、
「もう今日はダメ」
と言う。
この落差を見て、
「外と全然違うじゃない」
と思う。
でも私は、外の姿も本当だし、恋人の前の姿も本当なのだと思います。
人にはいろいろな顔があります。
強い自分しか見せない関係より、弱い自分まで出せる関係のほうが、むしろ深い場合もあります。
男性がなぜ「この人の前では頑張らなくていい」と感じる女性に惹かれるのかについては、**第6部「男性はなぜ『母親のような女性』に惹かれることがあるのか|恋愛と安心感の正体」**で詳しく取り上げています。
第6部|男性はなぜ「母親のような女性」に惹かれることがあるのか|恋愛と安心感の正体
男性が甘えるのは「母性本能を求めている」からなのか
このシリーズのテーマに戻ります。
男性が女性に甘える。
女性がそれを受け止める。
すると、
「男性は女性に母親を求めている」
という説明が出てきます。
でも、それだけでは少し乱暴です。
疲れているときに恋人のそばにいたい。
抱きしめてもらいたい。
話を聞いてほしい。
安心したい。
これは男性だけの感情ではありません。
女性だって好きな男性に、
「今日はちょっと甘えたい」
と思うことがあるでしょう。
つまり、
誰かに甘えたい気持ちは、男女どちらにもある。
ただ、男性の場合は普段「甘える側」になる機会が少ないため、恋人の前で出たときに目立つのかもしれません。
それを全部「母親を求めている」と考える必要はないと思います。
女性からすると「かわいい」と感じることもある
外では堂々としている男性が、
二人きりになると、
「疲れた」
と言って寄ってくる。
女性からすると、
「なんだ、こんなところもあるんだ」
と感じることがあります。
そのギャップを、
「かわいい」
と思う人もいるでしょう。
第2部で、女性が男性の弱さや不器用さに「放っておけない」と感じることを扱いました。
ここで男性側と女性側がつながります。
男性は、
「この人なら弱さを見せられる」
と思う。
女性は、
「私にだけこんな姿を見せるんだ」
と思う。
そこに、
「自分だけが知っている相手の顔」
という特別感が生まれる。
これは恋愛ではかなり強いものです。
ただし「甘える」と「何もしない」は違う
ここからが大事です。
男性が恋人に甘えること自体は、悪いことではありません。
でも、
「甘えているだけだから」
という言葉で何でも許されるわけではありません。
たとえば、
「今日は疲れたから少し話を聞いて」
これは甘えでしょう。
でも、
「俺は疲れているから家のことは全部やって」
が毎日続けば話が違います。
「仕事で失敗して落ち込んでいる」
だから抱きしめてほしい。
これはわかります。
でも、
仕事を辞めるたびに生活費を出してもらう。
問題が起きるたびに彼女に解決してもらう。
自分の機嫌まで彼女に直してもらおうとする。
それは「甘える」という言葉では収まりません。
健康的な甘えには「戻っていく力」がある
私は、大人の甘えには一つ特徴があると思います。
甘えたあと、自分の足に戻れること。
疲れた。
恋人に話を聞いてもらった。
少し楽になった。
「ありがとう」
と言って、また自分で仕事に向かう。
落ち込んだ。
そばにいてもらった。
気持ちが落ち着いた。
そして、自分の問題は自分で考える。
これなら恋人は「支え」です。
ところが、
毎回こちらが立たせないと立たない。
判断も任せる。
問題も処理してもらう。
自分の感情まで相手に管理してもらう。
となれば、恋人は「支え」ではなく、
自分を動かすための装置
のようになってしまいます。
それでは相手が疲れます。
「甘えられる女性」も、甘えていい
ここは男性側の記事ですが、女性にも伝えたいところです。
男性が自分にだけ弱さを見せてくれる。
頼ってくれる。
甘えてくれる。
最初は嬉しいと思います。
「私を信頼してくれているんだ」
と感じるでしょう。
それ自体は素敵なことです。
でも、いつの間にか、
彼が落ち込んだら私が励ます。
彼が困ったら私が助ける。
彼が不安なら私が安心させる。
それが当たり前になることがあります。
では、
あなたが落ち込んだ日はどうでしょう。
「今日は私が甘えたい」
と言えるでしょうか。
男性が、
「どうした?」
とこちらを向いてくれるでしょうか。
恋愛なら、甘える側は固定されなくていいはずです。
男性が女性に「一緒にいると癒やされる」と感じる心理については、
第8部「男性が女性に『癒やされたい』と思うのはなぜか|恋愛で求める安心と母性」
で詳しく考えています。
男性は「解決してほしい」のではなく「受け止めてほしい」こともある
男性の相談というと、
「男は解決策を求める」
と言われることがあります。
確かに、そういう人もいるでしょう。
でも男性だって、いつも答えが欲しいわけではありません。
仕事で嫌なことがあった。
自分でもどうすればいいかわかっている。
明日になれば、また仕事へ行く。
ただ今日は、
「大変だったね」
と言ってほしい。
そんな夜もあります。
これは女性だけの感情ではありません。
好きな女性に甘える男性が求めているのは、
必ずしも問題解決ではなく、
「今の自分をそのまま置いておける場所」
なのかもしれません。
SEXのあとに甘える男性もいる
恋人同士の甘えは、日常生活だけに出るものではありません。
SEXのあと、
急に話し始める男性。
くっついたまま離れない男性。
普段なら言わないようなことを話す男性。
逆に、静かになる男性もいます。
性的な興奮が落ち着いたあとに、
相手との距離をさらに近く感じる人もいるでしょう。
このとき出てくる甘えは、
「母親に甘える」のとは当然違います。
恋人だからこそ生まれる、
身体的な親密さと心理的な安心が重なった甘え
と考えたほうが自然です。
このテーマは後半の「母性本能とSEX」で、もう一度詳しく扱います。
甘えられることは「愛されている証拠」なのか
では男性が自分に甘えてくるなら、
「私は愛されている」
と考えていいのでしょうか。
ここは少し慎重に見たほうがいいと思います。
甘えられるということは、
安心されている。
信頼されている。
気を許されている。
その可能性はあります。
でも、
甘えられることと、恋愛として大切にされていることは完全には同じではありません。
自分には弱音を吐く。
自分には何でも頼る。
でもこちらの気持ちには興味がない。
こちらが困っても動かない。
自分の都合がいいときだけ連絡してくる。
それなら、
「信頼されている」というより、
「都合よく安心できる場所になっている」
可能性もあります。
見るべきなのは、彼が甘えてくるかどうかだけではありません。
自分のことも受け止めてくれるか。
ここです。
甘えられる関係は、弱い関係ではない
大人になるほど、
「自分のことは自分で」
と言われます。
もちろん、それは大切です。
でも、
全部一人で抱えることが大人なのでしょうか。
私は、そうは思いません。
一人でも生きていける。
自分の問題には自分で向き合う。
そのうえで、
「今日はちょっと支えて」
と言える。
そして別の日には、
「今日は私が支えるよ」
と言える。
そのほうが、むしろ大人同士の関係に近い気がします。
依存しないことと、誰にも頼らないことは同じではありません。
まとめ|男性が弱さを見せるのは「あなたなら大丈夫」と思っているからかもしれない
男性は好きな女性に甘えたいのでしょうか。
もちろん人によります。
一人で処理したい男性もいる。
甘えるのが苦手な人もいる。
でも、好きな女性の前だからこそ、
弱音を吐く。
そばにいたがる。
少し子どもっぽくなる。
格好悪いところを見せる。
そんな男性もいます。
その背景には、
「この人の前なら、強い自分だけでいなくても大丈夫」
という安心があるのかもしれません。
それは信頼の一つの形です。
ただし、
甘えることと、
相手に人生を背負わせることは違います。
大人の甘えは、
相手に寄りかかることはあっても、
相手の上に乗り続けることではありません。
そして女性も、いつも受け止める側でいる必要はない。
今日は男性が甘える。
明日は女性が甘える。
二人とも元気なら、それぞれ好きなことをしている。
そんなふうに、
甘える側と支える側を交代できる関係
なら、「甘え」は恋愛を弱くするものではなく、むしろ二人の距離を縮めるものになるのではないでしょうか。
次の第8部では、甘えからもう少し広げて、
第8部|男性が女性に「癒やされたい」と思うのはなぜか|恋愛で求める安心と母性
を考えます。
男性がよく口にする、
「癒やされる女性がいい」
という言葉。
では、その「癒やし」とはいったい何なのでしょう。
優しい女性なのか。
話を聞いてくれる女性なのか。
何も言わずそばにいる女性なのか。
それとも男性にとって都合のいい女性なのか。
次は、この少し曖昧な**「癒やされる女性」**の正体を掘り下げます。
運営者のメッセージ
「男は弱音を吐くな」
私たちの世代には、やはりどこかそんな空気があったと思います。
私自身も、何かあったときに人へ話すより、
「まあ、自分で何とかするか」
と考えることのほうが多かった気がします。
でも61歳になってみると、
何でも一人で抱えることが強さなのかと言われれば、少し違う気がしています。
人に頼る。
弱音を吐く。
「今日はちょっとしんどい」
と言う。
これも案外、勇気がいります。
特に好きな女性には、
格好いいところを見せたい。
頼れる男でいたい。
そう思うからこそ、
格好悪い自分を見せられるようになるまでには時間がかかる。
だから男性が、
「実はさ……」
と弱い部分を話してきたとき、
それはその女性をかなり信頼しているサインかもしれません。
ただし、何度でも言いますが、
「君にしか弱いところを見せられない」
と言いながら、洗濯も掃除も支払いも全部任せるのは別です(笑)。
それは甘えではなく、役割分担の再検討が必要です。
甘えることは悪くない。
むしろ、
お互いに甘えられることが大切なのだと思います。
強い男と強い女が一緒にいる必要もありません。
弱い男と弱い女でもいい。
今日は片方が少し元気なら、もう片方を支える。
明日は逆になる。
そんな関係なら、二人でいる意味は十分あるのではないでしょうか。
母性本能シリーズ
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第8部では、男性が女性に「癒やされたい」と思うのはなぜなのか。恋愛で男性が求める安心と母性の関係を考えていきます。
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第8部|男性が女性に「癒やされたい」と思うのはなぜか|恋愛で求める安心と母性
好きな女性の前で弱さを見せられる男性は、その女性に「一緒にいると落ち着く」「癒やされる」と感じることがあります。第8部では、男性が恋愛で求める安心と「癒やし」の正体を考えます。
