第8部|男性が女性に「癒やされたい」と思うのはなぜか|恋愛で求める安心と母性

「どんな女性がタイプ?」

そう聞かれた男性が、

「一緒にいて癒やされる人かな」

と答えることがあります。

優しい女性。

穏やかな女性。

笑顔の女性。

話を聞いてくれる女性。

なんとなくイメージはできます。

でも考えてみると、

「癒やされる女性」って、いったい何なのでしょう。

マッサージしてくれる女性ではありません(笑)。

料理を作ってくれる女性とも限らない。

何でも「うん、うん」と聞いてくれる女性でもないでしょう。

それでも男性は、ときどき女性に対して、

「この人といると癒やされる」

と感じます。

私は、この「癒やされる」という言葉の中には、

何かをしてもらう気持ちよさより、“何もしなくても自分でいられる安心”

が入っているように思います。

外では気を張っている。

仕事では結果を求められる。

人間関係にも気を使う。

そんな男性が女性のそばにいるときだけ、

少し肩の力を抜ける。

それを男性は、

「癒やされる」

と表現しているのかもしれません。

※この記事は「母性本能シリーズ」全15部の第8部です。
**第1部「母性本能とは何なのか|女性には本当に生まれつき備わっているのか」**では、恋愛の中で私たちが「母性本能」と呼んでいる感情の正体から考えています。

第6部からは男性側へ視点を移し、男性が女性に感じる「安心」「甘え」「癒やし」を順番に見ています。

第1部タイトル → 【第1部】母性本能とは何なのか|女性には本当に生まれつき備わっているのか


目次

男性が言う「癒やされる」は、かなり曖昧

「癒やされる女性が好き」

よく聞く言葉ですが、実はかなり曖昧です。

たとえば、

話していて楽しい。

沈黙していても気まずくない。

失敗を責められない。

仕事の愚痴を聞いてもらえる。

笑顔を見るとほっとする。

触れたとき落ち着く。

一緒にご飯を食べるだけで安心する。

こうしたものが全部、

「癒やされる」

の一言に入ってしまうことがあります。

男性本人も、

「なぜこの女性といると楽なのか」

まで分析しているわけではないでしょう。

ただ、

会ったあと、少し元気になっている。

その感覚がある。

これは案外大きいと思います。

「癒やされたい」という気持ちが、いつ「彼女に全部やってもらいたい」という依存へ変わるのかについては、**第9部「彼女を母親代わりにしてしまう男性|甘える恋愛と依存する恋愛の違い」**で詳しく考えています。


「何を話すか」より「どういられるか」

恋愛の初期は、会話の内容が気になります。

何を話そう。

沈黙したらどうしよう。

面白いことを言わなければ。

相手を楽しませなければ。

男性だって、好きな女性とのデートでは気を使います。

ところが関係が深くなると、

話題がなくても平気になる。

同じ部屋で、

女性はスマホを見ている。

男性はテレビを見ている。

しばらく誰も話さない。

それでも気まずくない。

「何か話さなきゃ」

と思わない。

私は、こういう時間に「癒やし」の正体が少し見える気がします。

癒やされる相手とは、

会話が途切れない人というより、

会話が途切れても不安にならない人

なのかもしれません。


男性はなぜ恋愛に安心を求めるのか

恋愛というと、

ドキドキ。

刺激。

情熱。

SEX。

そういうものを思い浮かべます。

もちろん、それも恋愛です。

でも人は、ずっと興奮してはいられません。

仕事で疲れている。

人間関係で気を使っている。

将来のことも考える。

年齢を重ねれば、親のことや健康、仕事、お金など、若いころとは違う問題も出てきます。

そんな日常の中で恋人まで、

「私を楽しませて」

「もっと話して」

「どうして何も言わないの?」

となれば、男性によっては疲れてしまうでしょう。

逆に、

「今日は疲れてるね」

と言って、それ以上追及しない。

そんな女性のそばでは、力を抜けることがあります。

これは「女性が男性を癒やさなければならない」という話ではありません。

安心できる人間関係を、人は恋愛にも求める。

男性も例外ではない、ということです。


癒やされる女性は「いつも笑顔の女性」なのか

ネットでは、

「男性が癒やされる女性の特徴」

として、

いつも笑顔。

穏やか。

聞き上手。

褒め上手。

家庭的。

そんな特徴が並ぶことがあります。

確かに、そういう女性を好む男性もいるでしょう。

でも、

「男性を癒やすために、いつも笑顔でいましょう」

となったら、私は少し違うと思います。

女性だって疲れます。

機嫌の悪い日もある。

話したくない日もある。

落ち込む日もある。

毎日ニコニコして、

男性の愚痴を聞き、

料理を作り、

「あなたなら大丈夫」

と励ます。

それでは癒やし系というより、

かなり忙しい仕事です(笑)。

恋人は、男性専属の癒やし担当ではありません。


「否定されない安心」は大きい

男性が女性に癒やしを感じる理由の一つとして、

すぐに否定されないこと

はあると思います。

たとえば男性が、

「会社辞めたいな」

とぽつりと言う。

その瞬間、

「辞めてどうするの?」

「次の仕事は?」

「生活どうするの?」

と返されたら、現実的には正しいかもしれません。

でも本人は、

本当に辞表を出すつもりではなく、

ただ、

「今日はしんどかった」

と言いたかっただけかもしれない。

そんなとき、

「今日はそんなに大変だったんだ」

と一度受け止めてもらえる。

それだけで楽になることがあります。

もちろん、

何でも賛成する必要はありません。

大切なのは、

話を聞くことと、賛成することを分けること。

これは男女どちらにも言えることでしょう。

男性がなぜ「この人の前では頑張らなくていい」と感じる女性に惹かれるのかについては、
第6部「男性はなぜ『母親のような女性』に惹かれることがあるのか|恋愛と安心感の正体」
で詳しく取り上げています。


解決してくれなくてもいい

好きな人が困っていると、何とかしてあげたくなります。

でも、すべての悩みに答えが必要なわけではありません。

仕事で嫌なことがあった。

上司に腹が立った。

自分にも悪いところがあった。

本人もわかっている。

明日になれば、また会社へ行く。

そんなとき、

「こうしたほうがいいよ」

「それはあなたも悪いよ」

と分析されるより、

「大変だったね」

で終わったほうがいい夜もあります。

男性が「癒やされる」と感じるのは、

問題を解決してくれる女性ではなく、

問題を抱えたままの自分でも、少し休ませてくれる女性

なのかもしれません。


癒やしは言葉だけではない

二人で食事をする。

コーヒーを飲む。

散歩する。

ソファで並んで座る。

何となく肩が触れる。

眠る前に少し話す。

こうした何でもない時間にも、人は安心を感じます。

特に恋人同士の場合、

声。

表情。

距離。

匂い。

触れ方。

そうした言葉以外のものもあります。

「何を言ってくれたから癒やされた」

とは説明できない。

でも、

その人のそばにいると落ち着く。

恋愛には、こういう理屈では説明しにくい部分があります。

このブログでずっと考えている「心と体の距離」というのも、案外こういうところにあるのかもしれません。


男性が「癒やされる」と感じる女性には特別感が生まれる

仕事の愚痴なら同僚にも話せます。

趣味の話なら友人でもいい。

でも、

何も話さず隣にいて落ち着く。

弱い自分を見せても平気。

触れられると安心する。

そういう相手は、それほど多くありません。

だから男性にとって、

「この女性といると癒やされる」

という感覚が強くなると、その女性が特別な存在になることがあります。

これは第6部で扱った「安心」と、第7部の「甘え」にもつながっています。

安心できる。

だから弱さを見せられる。

弱さを見せても受け止めてもらえた。

さらに安心する。

そんな積み重ねによって、

「この人のところに帰りたい」

という感覚が生まれることもあるのでしょう。


ただし「癒やされる」と「好き」は完全には同じではない

ここは少し注意が必要です。

男性から、

「君といると癒やされる」

と言われた。

それだけで、

「私は恋愛対象なんだ」

と判断できるでしょうか。

必ずしもそうではありません。

安心する。

話しやすい。

何でも相談できる。

これは好意ではあります。

でも、それが友情なのか、恋愛なのかは別です。

第3部で女性側の、

「守ってあげたい=恋愛感情なのか」

を考えました。

男性側にも似たことがあります。

「癒やされる=恋愛」ではありません。

そこに、

会いたい。

触れたい。

他の男性には渡したくない。

もっと深い関係になりたい。

人生の中に相手を入れたい。

そうした気持ちが重なってくると、恋愛としての色が濃くなっていきます。


「癒やされたい」が女性への要求になると話が変わる

ここからが重要です。

男性が女性に癒やしを感じる。

それ自体は何も問題ありません。

でも、

「俺は仕事で疲れているんだから癒やしてよ」

となったら、話が変わります。

自分が不機嫌でも女性が機嫌を取る。

愚痴は何時間でも聞いてもらう。

女性が疲れていても、自分の話を優先する。

家では何もしない。

SEXまで、

「疲れている俺を癒やして」

という感覚になる。

これでは恋人というより、

女性を自分の回復装置のように扱っています。

「癒やされる女性が好き」

という言葉は素敵に聞こえます。

でも、それが、

「自分に都合よく振る舞ってくれる女性が好き」

に変わっていないかは分けて考える必要があります。


「癒やしてくれる女性」と「都合のいい女性」の違い

この違いは、案外わかりやすいと思います。

男性が癒やされている。

でも女性も、その男性といると安心している。

男性が弱音を吐く。

女性も弱音を吐ける。

男性が話を聞いてもらう。

女性の話も男性が聞く。

男性が甘える。

女性も甘えられる。

これなら、

二人で安心を作っている関係

です。

ところが、

男性だけが話す。

男性だけが甘える。

男性だけが休む。

女性だけが気を使う。

女性だけが機嫌を取る。

そうなると、

「癒やし」というきれいな言葉の裏で、女性に負担が偏っている可能性があります。


男性が本当に求めているのは「母性」なのか

このシリーズの中心に戻ります。

男性が、

優しい女性。

穏やかな女性。

話を聞いてくれる女性。

安心できる女性。

そんな相手に惹かれる。

これを、

「男性は母性のある女性が好き」

と表現することがあります。

確かに、母性的と呼ばれる要素は含まれているでしょう。

でも私は、

男性が求めているものを全部「母性」と呼ばなくてもいい

と思います。

安心。

信頼。

受容。

親密さ。

居心地のよさ。

これらは母親と子どもの間だけに存在するものではありません。

恋人にもある。

夫婦にもある。

友人にもある。

男性同士にだってあります。

恋愛の中でそれが生まれたとき、男性は、

「癒やされる」

という言葉で表しているのかもしれません。

安心できる女性の前で男性が弱さを見せたり、甘えたりする理由については、
第7部「男性は好きな女性に甘えたいのか|外では強い男が恋人の前で弱くなる理由」
でも詳しく考えています。


癒やされる女性は「何もしない女性」でもあり得る

少し極端に言えば、

男性を癒やすために、女性が何か特別なことをする必要はないのかもしれません。

料理を作らなくてもいい。

励まさなくてもいい。

褒めなくてもいい。

気の利いた言葉を言わなくてもいい。

ただ同じ部屋にいる。

それぞれ別のことをしている。

ふと目が合う。

「コーヒー飲む?」

くらいの会話をする。

そしてまた、それぞれの時間に戻る。

それで落ち着く。

私は、長い関係になればなるほど、こういう時間の価値は大きくなるように思います。

何かをしてもらう安心より、

何もしなくても壊れない安心。

これが「癒やされる」という感覚のかなり深いところにあるのではないでしょうか。


まとめ|「癒やされる」とは、自分を演じなくてもいいことなのかもしれない

男性が女性に「癒やされたい」と思うのはなぜでしょう。

疲れているから。

話を聞いてほしいから。

優しくしてほしいから。

甘えたいから。

もちろん、そういう理由もあります。

でも、その奥には、

「この人の前では、何かを演じなくてもいい」

という安心があるのかもしれません。

強い男でなくてもいい。

仕事ができる男でなくてもいい。

面白い男でなくてもいい。

今日は疲れている。

今日は話したくない。

そんな自分でも、隣にいていい。

その感覚が、

「この女性といると癒やされる」

につながる。

ただし、その安心は女性だけが作るものではありません。

男性も女性を安心させる。

女性も男性の前で力を抜ける。

二人とも癒やされる。

それなら「母性」という言葉を超えて、大人同士の親密な関係になっていくのだと思います。

そして次の第9部では、この安心が一方向へ偏ったときの問題を扱います。

第9部|彼女を母親代わりにしてしまう男性|甘える恋愛と依存する恋愛の違い

「彼女の前では甘えられる」

ここまでは問題ありません。

では、

「彼女がいなければ何もできない」

になったらどうでしょう。

第9部では、男性の甘えがどこから依存へ変わるのか。

そして女性がいつの間にか、

恋人ではなく「母親役」になってしまう関係

について考えていきます。

運営者のメッセージ

「癒やされる女性」

昔からよく聞く言葉です。

私も若いころなら、

優しくて、いつも笑っていて、何でも話を聞いてくれる女性。

そんなイメージを持っていたかもしれません。

でも61歳になった今は、少し違います。

本当に落ち着く相手というのは、

何かをしてくれる人ではなく、何もしなくても一緒にいられる人

なのかもしれません。

ずっと会話していなくてもいい。

無理に盛り上げなくてもいい。

機嫌が悪い日だってある。

疲れていれば、二人とも黙っている。

それでも、

「怒ってる?」

「嫌われた?」

と不安にならない。

私は、これはかなり贅沢な関係だと思います。

ただし、

男性がソファで寝転がり、

女性が料理をして、片づけをして、愚痴を聞いて、

男性が最後に、

「ああ、癒やされる」

と言っているなら……

女性側は、あまり癒やされていないでしょう(笑)。

恋愛ですから、片方だけが回復する場所では困ります。

「あなたといると癒やされる」

と言える関係より、

「二人でいると、なんとなく二人とも楽になる」

そんな関係のほうが、私はいいと思っています。

母性本能シリーズ

第7部|男性は好きな女性に甘えたいのか|外では強い男が恋人の前で弱くなる理由

シリーズを最初から読む|第1部「母性本能とは何なのか」

第9部では、彼女を母親代わりにしてしまう男性の心理と、「甘える恋愛」と「依存する恋愛」の違いを考えていきます。

母性本能シリーズ|次の記事

第9部|彼女を母親代わりにしてしまう男性|甘える恋愛と依存する恋愛の違い

女性に「癒やされたい」「甘えたい」と思うこと自体は、決して悪いことではありません。では、それが「彼女に自分の生活や感情まで任せる関係」へ変わるのはどこからなのでしょうか。第9部では、大人の自然な甘えと依存の境界線を考えます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次