まだ一度も会ったことがない。
付き合っているわけでもない。
なのに、その人が別の異性と話しているかもしれないと思うと、なぜか嫌な気持ちになる。
出会い系やマッチングアプリで知り合って、LINEを交換した。
最初は軽いやり取りだったはずなのに、いつの間にか毎日のように話すようになった。
「おはよう」
「仕事終わったよ」
「今日はこんなことがあった」
夜になれば「おやすみ」。
そんなことを繰り返しているうちに、その人が自分の一日の中に普通にいるようになります。
ところが、ある日ふと考える。
「この人、まだアプリやってるのかな」
「自分以外の人ともLINEしてるんだろうか」
気になってしまう。
相手が週末に出かけると言えば、
「誰と?」
と聞きたくなる。
でも聞けない。
だって、まだ恋人じゃないんですから。
ここが苦しいんですよね。
一度も会ったことがない人に嫉妬するのは、おかしいことなのでしょうか。
自分は、おかしくないと思います。
ただ、その嫉妬は少し扱いが難しい。
気持ちはすでに相手に近づいているのに、現実の関係はまだそこまで進んでいないからです。
今回は、この妙な距離にいる二人について考えてみます。
会ったことがなくても、気持ちだけは先に近づいていく
人を好きになるには、実際に会わなければいけない。
昔なら、そう考えるほうが普通だったかもしれません。
でもLINEがある今は少し違います。
毎日話せますからね。
朝起きたときから寝る直前まで、やろうと思えばずっとつながっていられます。
実際に付き合っている恋人よりLINEしている、なんてこともあるでしょう。
しかも、文字だから話せることがあります。
過去の恋愛。
家族のこと。
仕事の悩み。
自分の弱いところ。
対面なら相手の顔色を見てしまって言えないことでも、スマホを見ながらなら不思議と書けてしまう。
「こんなこと、あまり人に話したことないんだけど」
そんな一言をもらったら、ちょっとうれしいですよね。
自分だけには心を開いてくれているような気がする。
そこから毎日やり取りしていたら、会ったことがなくても気持ちが動くのは、それほど不思議ではないと思います。
問題は、気持ちが近づく速さと、現実の関係が進む速さが同じではないことです。
心の中ではかなり近い。
でも現実では、一度も同じ場所に立ったことがない。
このズレが、嫉妬をややこしくします。
「誰と行くの?」と聞きたい。でも聞く資格がない気がする
たとえば金曜日の夜。
いつものようにLINEをしていたら、相手から、
「明日はちょっと出かけてくる」
と来た。
普通なら、
「楽しんできてね」
で終わる話です。
ところが、好きになっていると一つ余計なことを考えます。
誰と行くんだろう。
友達かもしれない。
家族かもしれない。
一人かもしれない。
でも頭に浮かぶのは、なぜか異性だったりします。
「誰と?」
この二文字を入力する。
でも、送る前に消す。
これ、ありそうじゃないですか。
自分だったらたぶん一度考えます(笑)。
なぜ消すのか。
まだ付き合っていないからです。
「彼女でもないのに何でそんなこと聞くの?」
「彼氏じゃないのに束縛しないで」
そう思われたら嫌だ。
だから聞けない。
ところが、聞かなかったからといって気にならなくなるわけでもありません。
むしろ情報がないので、想像が始まる。
これが厄介なんですよね。
LINEは「見えない時間」が気になりやすい
LINEというのは便利ですが、恋愛になると少し意地悪なところがあります。
既読が見える。
返信が来た時間もわかる。
いつもなら10分くらいで返ってくる人が、今日は2時間返してこない。
それだけです。
本当に、それだけ。
仕事をしているのかもしれない。
お風呂に入っているかもしれない。
寝てしまったのかもしれません。
なのに好きになっていると、
「誰かと会ってる?」
という選択肢が頭の中に入ってくる。
一度気になると、スマホを何度も見てしまう。
まだ来ていない。
30分後にまた見る。
まだ来ていない。
自分で書いていて思いますが、スマホってこういうとき本当に便利なんだか不便なんだかわかりません。
実際に恋人なら、
「今日は友達と飲んでくるね」
という会話があるかもしれません。
でもLINEだけの関係では、相手の予定を全部知る立場ではない。
だから空白が多いんです。
そして、その空白を想像で埋める。
前の記事でも書きましたが、LINEでわからない部分には、自分の想像が入り込みます。
相手を好きになっていると、良い想像だけでは済まなくなるんですよね。
嫉妬しているのは「相手」より「自分の居場所」なのかもしれない
嫉妬というと、
「相手を独占したい気持ち」
と思われがちです。
もちろん、それもあるでしょう。
でもLINEだけの関係では、少し違う嫉妬もあるように思います。
たとえば毎晩、寝る前に30分くらい話している二人がいるとします。
それが3か月続いた。
ある日、相手から連絡が来ない。
翌日も少ない。
すると、
「ほかに好きな人ができたのかな」
と思う。
このとき怖いのは、相手が誰かと仲良くすることだけではないのかもしれません。
自分がいた場所に、別の誰かが入ってくること。
こちらのほうが怖いんじゃないでしょうか。
昨日まで、
「今日こんなことがあってさ」
と最初に話してくれていた。
ところが、その話を今は別の人にしているかもしれない。
自分だけが知っていたと思っていた話を、ほかの人にもしているかもしれない。
そう考えると寂しくなる。
これは恋人を取られる嫉妬とは、少し違います。
自分が「特別な人」だと思っていた場所が、本当は特別ではなかったかもしれない。
その不安です。
LINEだけの恋愛で嫉妬が強くなる理由の一つは、ここにあるような気がします。
出会い系で知り合ったからこそ、余計に気になる
さらに厄介なのが、出会い方です。
マッチングアプリや出会い系で知り合った場合、
自分と知り合った場所には、ほかの異性もいる
ということを最初から知っています。
これは結構大きいですよね。
自分とマッチングした。
LINEを交換した。
毎日話すようになった。
でも、アプリを退会したとは聞いていない。
となれば、
「まだ誰か探してるのかな」
と思うのは自然です。
プロフィールを見に行きたくなる人もいるでしょう。
ログインしているのか。
写真が変わっていないか。
自己紹介が更新されていないか。
そして見に行ったら最後、
「オンラインだった……」
なんてことになる。
でも、ちょっと待ってください。
こちらも見に行っているんですよね(笑)。
相手から見れば、
「あなたもログインしてるじゃない」
となります。
こういうのは面白いというか、人間らしいというか。
お互い相手を気にして確認しに行っているのに、画面上では二人とも「まだ相手を探している人」に見えてしまう。
それで勝手に傷つくこともある。
LINEやマッチングアプリの恋愛には、昔にはなかった種類のすれ違いがあると思います。
嫉妬することと、相手を束縛することは別
ここは分けたほうがいいと思います。
嫉妬する。
これは感情です。
勝手に出てきます。
「嫉妬するな」
と言われて消せるなら、恋愛で悩む人はずいぶん減るでしょう。
だから、
「まだ会ったこともないのに嫉妬する自分はおかしい」
と責める必要はないと思います。
好きなら気になる。
それでいいと思います。
ただし、
嫉妬したから相手を束縛していい、とはならない。
これは別の話です。
まだ付き合っていない相手に、
「アプリ消して」
「ほかの異性とLINEしないで」
「昨日誰といたの?」
「なんで返信くれなかったの?」
と求め始めれば、相手は戸惑うかもしれません。
自分の中では恋愛がかなり進んでいる。
でも相手の中では、
「まだLINEしている段階」
かもしれないからです。
ここが一番怖いところですね。
同じ回数LINEをしていても、二人の気持ちが同じところまで進んでいるとは限りません。
自分はもう好き。
相手は「話しやすい人」。
その可能性だってあります。
これは会っている恋愛でもありますが、LINEだけだと余計に見えにくい。
だから嫉妬そのものより、
二人が今の関係をどう見ているのか
のほうが大事になってきます。
「私たちって何?」と聞く前に、少しだけ確かめてもいい
では、嫉妬して苦しくなったらどうすればいいのか。
いきなり、
「私たちって付き合ってるの?」
まで行かなくてもいいと思います。
たとえば、
「最近、毎日話してるね」
くらいでもいい。
相手が、
「ほんとだね。なんか話すのが普通になってきた」
と返すかもしれません。
あるいは、
「LINE来ないとちょっと寂しいかも」
と少しだけ自分の気持ちを出してみる。
そこで相手が、
「俺も」
と言うのか。
さらっと流すのか。
こういう小さなやり取りでも、相手との温度差は少し見えてきます。
そして、もし本当に恋愛として進めたいのなら、やはりどこかでは「会う」という話になってくるでしょう。
会えない事情があるなら仕方ありません。
急ぐ必要もない。
でも何か月もLINEをして、嫉妬して、相手の行動が気になって、それでも二人の関係が何なのか一度も話せない。
これは結構つらいと思います。
嫉妬を我慢する方法を探すより、
「この人と自分は、どこへ向かっているんだろう」
を考えたほうがいい場合もあります。
会っていないからこそ、嫉妬が大きくなることもある
普通に考えれば、
会って付き合っている恋人のほうが嫉妬は強くなりそうです。
でも必ずしもそうではないと思います。
会っていないからこそ、不安になることもあります。
相手の生活が見えない。
友達も知らない。
職場も知らない。
休日に何をしているのかも、相手が話してくれた範囲しかわからない。
つまり、自分が知らない相手の世界がものすごく広いんです。
そして人間は、わからないものを想像します。
「今日忙しい」
と言われれば、
本当に仕事かもしれない。
でも証明するものは何もありません。
ここで、
「本当に仕事?」
と疑い始めたら、かなり苦しくなります。
だからLINEだけの関係では、相手を信じることも大事ですが、それ以上に、
自分が想像で作った話を事実にしないこと
が大切なんじゃないでしょうか。
返信がない。
これは事実。
ほかの異性と会っている。
これは想像。
この二つを混ぜない。
簡単そうですが、好きな人が絡むとなかなか難しいです。
それでも嫉妬するなら、たぶんその人はもう「ただのLINE相手」ではない
ここまで読んで、
「それでも気になるものは気になる」
という人もいるでしょう。
それでいいと思います。
むしろ、その気持ちは一つの答えなのかもしれません。
相手が誰と会っているのか気になる。
LINEが来ないと寂しい。
ほかの人と仲良くしてほしくない。
会ったこともないのに、失うのが怖い。
そこまで来ているなら、少なくともあなたの中では、その人はもう単なるLINE相手ではないのでしょう。
好きなのかもしれない。
かなり好きになり始めているのかもしれません。
だったら、
「嫉妬しないようにしよう」
と感情を押さえ込むだけではなく、
自分はこの人とどうなりたいのか
を考えてもいい時期だと思います。
LINEだけを続けたいのか。
一度会ってみたいのか。
恋人になりたいのか。
そこがわからないままだと、相手からLINEが来るたびにうれしくなり、来ないたびに不安になる。
相手の指一本で、自分の一日の気分が決まるようになってしまいます。
それはちょっとしんどいですよね。
まとめ|会ったことがなくても、嫉妬するほど人を好きになることはある
一度も会ったことがない人に嫉妬する。
自分は、それ自体がおかしいとは思いません。
毎日話していれば情もわきます。
自分だけに話してくれたと思えば、特別に感じる。
相手からLINEが来ることが生活の一部になれば、それを失いたくなくなる。
人間ですから、そうなることはあります。
ただ、
気持ちが恋人になったことと、二人が恋人になったことは同じではありません。
ここだけは分けて考えたほうがいい。
嫉妬した自分を責めなくていい。
でも、その嫉妬を理由に相手を縛るのも違う。
その間にあるのが、
「私はこの人とどうなりたいんだろう」
という自分への問いなのだと思います。
LINEだけの関係には、はっきりしない時間があります。
楽しいけれど不安。
近いようで遠い。
相手のことをたくさん知っているのに、実際には一度も隣を歩いたことがない。
不思議な関係です。
でも、その中で生まれた気持ちまで偽物ではありません。
もし嫉妬するほど相手が大きな存在になっているのなら、その気持ちを否定するより、一度ちゃんと見てみてもいい。
「自分は、この人を好きになっているのかもしれないな」
そこを認めるところから、次にどうするかが見えてくるような気がします。
運営者のメッセージ
昔なら、一度も会ったことのない人に嫉妬すると聞いたら、
「会ってもいないのに?」
と思ったかもしれません。
でも、今はそう簡単には言えません。
毎朝「おはよう」と言ってくれる人がいる。
夜には「今日もお疲れさま」と言ってくれる。
嫌なことがあれば話を聞いてくれる。
そんな日が何か月も続いたら、スマホの向こうにいる人でも大切になります。
そして大切になれば、失いたくなくなる。
嫉妬というのは、その気持ちの裏返しでもあるのでしょう。
ただ、自分なら一つだけ覚えておきたい。
画面の向こうの相手にも、自分が知らない生活があります。
こちらにもあります。
恋愛は、その二つの生活が少しずつ重なっていくことなのかもしれません。
LINEは、その入口にはなれます。
でも、もし二人ともその先へ行きたいと思っているなら――。
いつかスマホを置いて、同じテーブルで話してみる。
そこで初めてわかることも、きっとたくさんあると思います。
