―― 支配と受容の心理構造 ――
「サディスト」「マゾヒスト」という言葉は、
日常では誤解を含んだまま使われることが多い言葉です。
- 乱暴
- 痛みを好む
- 歪んでいる
こうしたイメージが先行しがちですが、
心理学的に見ると、SとMは
単純な嗜好ではなく、対人関係のスタイルでもあります。
目次
SとMは「加害/被害」の関係ではない
心理学・臨床心理の分野では、
サディズムとマゾヒズムは
支配―服従の欲求構造として理解されます。
重要なのは、
ここでいう「支配」「服従」は
暴力や強制を意味しない、という点です。
- S:主導することで安心する
- M:委ねることで安心する
これは
力関係というより、役割の選好に近いものです。
人はなぜ「非対称な関係」に安心するのか
人間関係は、常に対等である必要はありません。
- 判断を任せたい
- 導いてほしい
- 責任を引き受けたい
- 流れをコントロールしたい
こうした欲求は、
性の領域だけでなく、
仕事・家族・人間関係全般にも見られます。
SとMの性癖は、
この関係性の好みが、性の場面で強く現れる形
と捉えることができます。
性癖は「人格」ではなく「傾向」
ここで強調しておきたいのは、
Sだからこういう人
Mだから弱い人
といった
人格への短絡的な結びつけは誤りだということです。
多くの人は、
- 場面によってS的
- 別の場面ではM的
という グラデーションの中にいます。
第2部では、
それぞれの特徴を、
より具体的に心理構造から見ていきます。
