このシリーズでは、 体型・年齢・女性性と性欲が、なぜ結びついて感じられるのかを、
心理学や脳の仕組みから丁寧に整理していきます。
年齢とともに女性性が薄れたように思える理由
―― 若さではなく「役割」が変わっているだけ ――
第1部で、
「体型の変化=性欲の低下」ではない、
という視点に触れました。
けれど、多くの女性はそこで次の疑問に行き着きます。
体型だけじゃない。
年齢を重ねたこと自体が原因なのではないか。
性欲や女性性が遠のいた感覚を、
「年齢のせい」だと感じてしまうのは、とても自然なことです。
ですが心理学と脳科学の視点から見ると、
ここにも大きな誤解が含まれています。
「年齢を重ねた=女性性が薄れた」と感じる仕組み
多くの女性が年齢とともに感じる違和感は、
実際には次のような言葉で表されます。
- 女として見られていない気がする
- もう求められる存在ではないのでは
- 自分が透明になったように感じる
これらは性欲そのものより、
**「どう扱われているか」「どう見られているか」**に関係しています。
心理学ではこれを
役割アイデンティティの変化と呼びます。
女性は「年齢」と一緒に役割を切り替えられていく
社会の中で、女性は年齢とともに
暗黙の役割変化を求められます。
- 若い頃:
魅力・選ばれる存在・性的対象 - 中年期以降:
母・妻・支える側・落ち着いた人
この変化は、
誰かが明確に言葉で指示するわけではありません。
けれど、
- 求められ方
- 声のかけられ方
- 視線の向き
といった日常の細かな体験の中で、
無意識に刷り込まれていきます。
すると脳は、
「もう性的な存在として振る舞わなくていい」
「期待されていない」
と学習していきます。
脳は「使われない回路」を静かに弱める
脳科学的に見ると、
性欲に関わる回路(報酬系)は、
- 安心
- 期待
- 肯定的なフィードバック
によって活性化します。
逆に、
- 見られない
- 反応がない
- 期待されていない
状態が続くと、
脳はその回路を「使わないもの」と判断します。
これは
性欲が消えたのではなく、
使われなくなった感覚が弱まった状態です。
更年期=性欲消失、ではない
更年期は、
性欲と結びつけられがちですが、
実際にはもう少し複雑です。
確かにホルモンバランスは変化します。
しかし、性欲の変化に強く影響するのは、
- 自分をどう評価しているか
- これからの人生をどう捉えているか
- 関係性の中で、安心できているか
といった心理的要因です。
更年期は
「終わり」ではなく、
役割と自己イメージが再編される時期とも言えます。
「女性である感覚」が薄れたのではない
ここで大切なのは、
多くの女性が感じているのは、
女性性が失われた
ではなく
女性性を感じる機会が減った
という可能性が高い、ということです。
- 求められない
- 話題にされない
- 自分から触れない
これらが重なると、
脳は「感じなくていいもの」として処理してしまいます。
年齢の問題に見えて、実は「関係性」の問題
年齢とともに性欲や女性性が遠のいたと感じるとき、
多くの場合、次のような要素が絡んでいます。
- パートナーとの会話の減少
- 触れ合いの減少
- 評価されている感覚の欠如
これは年齢そのものより、
関係性の温度差の影響が大きい。
年齢を理由に諦めてしまう前に、
どこで「自分が置き去りにされた感覚」を持ったのか、
振り返ってみる価値はあります。
年齢を重ねたからこそ起きる「感覚の変化」
もう一つ、重要な視点があります。
年齢を重ねると、
性欲は衝動的なものから、
意味やつながりを求めるものへ変化します。
- ただ欲しい、ではなく
- 受け入れられたい
- 大切にされたい
この変化に気づかないまま
「若い頃と同じ感覚がない=失った」と判断すると、
本来の変化の価値を見落としてしまいます。
次に考えたいこと
第1部では体型、
第2部では年齢という視点から、
女性が自分を責めてしまう構造を見てきました。
では最後に残る問いは、これです。
女性性とは、
体型や年齢、
そして「求められるかどうか」で決まるものなのか。
第3部では、
この問いそのものを掘り下げていきます。
