夜、隣で眠る妻の背中を見ながら、ふと思うことがあります。
「最後に触れ合ったのは、いつだっただろうか」
喧嘩をしたわけではありません。嫌いになったわけでもない。 ただ、私自身の「男としての自信」が揺らぎ始め、妻もまた、年齢による体の変化に戸惑っている。 互いに傷つくのを恐れて、いつの間にか寝室は「ただ眠るだけの場所」になっていました。
60代。私たち夫婦の間にあるこの静かな距離感に、同じような寂しさを感じている方は多いのではないでしょうか。
「できなくなった自分」を責めないで
正直に告白します。 私も最初は、年齢による衰えを認めるのが怖かった。
若い頃のように体が反応しない。気持ちはあるのに、ついてこない。 そんな夜、妻に対して「申し訳ない」という罪悪感で胸が押しつぶされそうになりました。
一方、妻もまた、閉経後の体の痛みに悩み、「あなたに応えられない」と自分を責めていたことを後で知りました。
私たちは、誰とも戦う必要なんてなかったのです。 これは「老化」という誰にでも訪れる自然な変化。 愛が冷めたわけでも、どちらかが悪いわけでもありません。
どうか、自分を責めないでください。 「ごめんね」と謝る代わりに、「私たちも、そんな歳になったんだね」と二人で苦笑いするくらいで、ちょうどいいのです。
「結合」だけが愛の形ではない
ある時、私は気づきました。 私たちはこれまで、「挿入して、終わること」だけを“正解”としすぎていたのではないかと。
若い頃の激しさが去った今、私たちに残されたのは、もっと穏やかで、もっと優しい時間です。
専門的な言葉では「ノン・ペネトレーション(挿入を伴わない性)」とも呼ばれますが、難しく考える必要はありません。
- ただ、一緒にお風呂に浸かって背中を流し合う。
- お互いの手や足をマッサージして、体温を感じる。
- 服を着たままでもいい、ソファで寄り添ってテレビを見る。
不思議なもので、ただ肌が触れ合っているだけで、行為そのものよりも深い安らぎ(オキシトシン)に包まれることがあります。 「繋がらなくていい」。そう決めた瞬間、私たちの夜からプレッシャーが消え、温かい時間が戻ってきました。
大人のエチケットとして「道具」を頼る
そしてもう一つ、恥ずかしがらずにお伝えしたいことがあります。 二人の時間を快適にするために、便利なものは賢く頼りましょう。
例えば、女性の痛みを和らげるための「潤滑ゼリー」。 これは決して、いやらしい道具ではありません。乾燥した肌にクリームを塗るのと同じ、相手を思いやるための**「優しさ(エチケット)」**です。
また、男性の機能回復(ED治療)についても、今はオンラインで誰にも会わずに相談できる時代です。
「二人の時間を楽しむために、工夫をする」。 その姿勢そのものが、言葉以上に「あなたを大切に思っている」というメッセージになります。
愛は「激しさ」から「深さ」へ
ワインが時間をかけて熟成するように、夫婦の愛も形を変えていきます。
ドキドキするような高揚感は、もうないかもしれません。 でも、「この人の体温を感じると、一番安心する」。 そんな絶対的な信頼関係は、長い時間を共に乗り越えてきた60代の二人にしか作れません。
「もう年だから」と諦めて背中を向ける前に。 今夜、布団の中で少しだけ、パートナーの手を握ってみませんか?
その手の温もりが、あなたの明日を少しだけ優しくしてくれるはずです。
